吉本ばなな amazon:ハードボイルド/ハードラック (幻冬舎文庫)
専門書で頭が回らなくなったら、小説を読んで一息つく。
一服タイムに吉本ばなな。
久しぶりに吉本ばななの小説を手に取ったのですが
本当に読みたかったのはamazon:ひな菊の人生の方。
「ひな菊の人生」は残念なことに文庫で出版されておらず、
また現在のところ、文庫出版される見通しはなさそう。残念。
話は戻ってハードボイルド/ハードラック。
山本文緒は「離婚」が常々キーワードにあげられますが
吉本ばななは「女性同士の愛」がどの小説とってもキーワードですね。
あと・・「死別」ですかねぇ。
2つの中編小説で構成されているのですが
双方ともに人知を越えた悲壮なミラクルが描かれています。
幽霊だったり、第6感だったり。
ミラクルは胡散臭くない程度で心地よく描かれており、
最終的に現実の世界に帰っていく主人公に救われた気分になります。
以前、河合隼雄センセと対談しているからかな。
ユング的な世界と現実を往来する主人公はちょっと病的。
吉本ばななは、淡い恋心でハッピーエンド!な内容を書かないけれど
「なんとなく始めよう」という感じで終わる。
そこらへんが残酷ではないから憎めない。
長くないので、3時間あれば読み切れます。
眠れない夜にどうぞ。
あと、吉本ばななでのお勧めはamazon:キッチンの中にある
「ムーンライト・シャドウ」という短編小説。
最後に読んだのは6年も前の話ですが、描写が焼き付いて離れません。