山本文緒 amazon:紙婚式(角川文庫)
山本文緒の作品でもとりわけ「結婚」にこだわった短編集。
一日で読み終えることが可能でした。いや、内容としては重いですよ?
その時は好きで好きで結婚してみたものの、蓋を開けたら・・・。
お互いの我慢の上で成り立つ新婚生活や
相手への不満を吐露できずに、ケミカルや浮気に走る生活。
幸せだと思っているのはもしかしたら、自分だけなのかもしれない。
そんな結婚に対する疑惑を追及した作品です。
特に「秋茄子」は最後まで展開が読めなくて切なくて良い話。
キーワードは「離婚」かな。
山本文緒自身が離婚の経験者である以上に
「離婚」への想いがさまざまに満ちあふれています。
私は、「amazon:恋愛中毒]」「[amazon:きっと君は泣く」
「amazon:パイナップルの彼方]」「[amazon:あなたには帰る家がある」など
長編集の方が好きなんですが。
山本文緒は、リアルにこだわっていると思います。
ストレスフル、現実に目を伏せたい時にでもリアルから離れない。
そして、誰も「特別な存在」ではない描き方。
そういう部分が絶望的で、だけど心地良い作家さんです。
「きっと君は泣く」は、特に思い出深い作品。
なんていいタイトル。
ちなみに。結婚と恋愛。私も違うと思います。
恋愛は互いが「同一化」してもいいけれど結婚は「一体化」でないと。
与えることが愛なんですって。