太宰治 amazon:人間失格・桜桃 (角川文庫)

写真は新潮文庫の人間失格




読もうか、読むまいか、買う寸前まで悩みました。
中島義道氏のamazon:不幸論
田口ランディ氏のamazon:コンセントを読んでから
気をつけて本を読まないと具合が悪くなってしまうことが発覚したので
人間失格」買い渋っていました。


太宰氏の本はこれが3冊目。
最初に読んだのがamazon:斜陽(角川文庫)
次がamazon:津軽新潮文庫)、この2冊で拮抗力をつけて勝負(笑)


結果。意外に大丈夫でした。ほっ。



この本は、漫画家であり、その苦悩の人生からモルヒネ患者となった
大庭葉蔵の手記を題材として書かれた太宰文学の代表作。


人間への恐怖、人間の生活への恐怖から
幼少時より明るい自分を繕って、周囲の人間を楽しませた主人公。


父親との確執、友人との隔たり、「NO」と言えない自分への嘲笑など
生きにくさを抱え続けた人間を描き続けています。


生きにくい人間ほど、その自分に反する生き方をしてしまう。
汚くて、他者に蔑まれて、なお堕落を繰り返しながら生きてしまう。



「斜陽」に出てくる弟もそうですが、生きにくい人間の内面を
やるせないほどに詳細に描写することができるのは
太宰氏自身の半生が作品にあふれているからなんでしょうね。


生きにくく、そして死ににくい。


だから、現代の生きにくい人間たちは太宰氏にリンクするのかな。



私は、太宰氏の作品が
裕福さに恵まれたことが一切の幸せを象徴するものではない
と世間に噛みついてくれているようで、親近感が湧きます。


また幼少期、道化師として存在するしか方法がなかったことも。


太宰氏には熱狂的なファンが多く、その知的レベルの高さから
私は書評を書くことに相当躊躇してます。


自分の感じたことは嘘ではないにしろ、
非常にコメントしずらい作家さんですね(笑)